「お寺を建てる!」Part II 開山落慶法要



は じ め に

 平成18年11月25日、当林海庵の「開山落慶(かいさんらっけい)法要」をお勤めいたしました。
 この法要は、新しくお寺が開かれたことをお祝いするものです。同時に、これまでの開教活動を締めくくり、未来に向かって新しい一歩を踏み出す礎石でもあります。
 この日のために半年前から慎重に準備を重ねてきましたが、当日は幸い青空が広がり、約70名の方々がお集まり下さいました。お心こもるお祝いやご祝辞をたくさん頂き、またたいそう盛大な法要を勤めることができまして、住職の私にとりましても、生涯の想い出に残るであろう素晴らしい一日となりました。
 ご参加ご協力下さいました浄土宗八王子組各ご寺院、浄土宗東京教区、浄土宗宗務庁、そしてもちろん信徒の皆さま、およびご関係の各位に、心より御礼申し上げます。
 また、法要にはご参加頂けなかったものの、さまざまなご支援を頂戴し、あたたかく見守って下さった大勢の方々に、衷心より御礼申し上げます。

 ここに至るまでの5年間は、たいへんめまぐるしいものでした。その5年間のあゆみを振り返ることから始めましょう。


林 海 庵 の あ ゆ み
課長
 この方がその課長です
●平成13年4月
 私—笠原泰淳(現住職)は当時、東京教区芝組心光院に勤務しておりました。たまたま自宅に帰る途中、地下鉄の駅で浄土宗東京事務所(当時)の課長職の方にお会いしました。この課長のことは、心光院住職を通じて以前から存じ上げています。帰りが同じ方向でしたので、電車に揺られながら近況などの雑談になりました。
 ふと課長が、「それはそうと、笠原さん。国内開教─国内の浄土宗寺院が少ない地域に、新たにお寺を建立してゆこうという活動—をやってみませんか。実は今、浄土宗でこういう施策を…」という話をされます。そのとき、「これは良い話だ」と直感しました。
 数日後、浄土宗総合研究所を訪ね、国内開教システムについてのお話を伺いました。早速関係の方々—家族、勤務先寺院、所属寺院、浄土宗東京事務所(当時)、浄土宗総合研究所—に相談をしながら、方向性を探ります。そして、東京都多摩市・稲城市のあたりを候補地に選び、とにかく活動準備を始めよう、ということになりました。
ビュープラザ
 ビュープラザ向陽台
●同年6月
 いくつか賃貸の不動産物件をあたった結果、稲城市向陽台の14階建てマンションを活動拠点に選びました。借りた部屋はメゾネットタイプのもので、内階段がついています。一階部分は生活スペースと客間、二階部分(9.5畳)を仏間にして、最低限の活動が始められます。7月末、引越しました。
ご本尊阿弥陀如来
 ご本尊阿弥陀如来
●同年11月
 浄土宗から、多摩市・稲城市近郊を「国内開教指定地域」として、開教を行なうことを正式に承認されます。

●同年12月
 ご本尊の阿弥陀如来像をお迎えしました。この頃、初めての信徒さんとご縁ができます。
マンション時代の客間
 マンション時代の客間
●14年4月
 本格的な開教活動を開始します。浄土宗と東京教区から、助成金の支給が始まりました。浄土宗からは、他に『浄土宗新聞』『かるな』などの出版物を若干部送って頂くことになりました。

●15年6月
 第一期国内開教使に任命されました。(浄土宗内に、国内開教使制度が誕生したわけです。他にも、山形教区、埼玉教区、三州教区などに国内開教使がおられます)
当時のマンション1階
 当時のマンション1階
●同年8月
 浄土宗より寺院設立承認を受けました。ようやく正式な浄土宗寺院として認められます。それまでは、開教活動自体は公認されていましたが、賃貸、それもマンション内の活動拠点が「一寺院」として公認されるなど、まったく考えられないことでした。それが、宗務庁の担当職員や教区長のご尽力のおかげで、とうとう実現いたします。
初めてのお念仏の会
 初めてのお念仏の会
●同年10月
 月例「お念仏の会」を始めます。初回の参加者は13名でした。(お念仏の会の記録は「お念仏の会」のページにあります)
取得時の建物
 取得時の建物
●17年1月
 多摩市内に理想的な土地建物物件が見つかり、取得に向けて動き出します。
改修工事中
 改修工事中
●同年6月
 浄土宗開教振興協会から貸付けを受け、この物件を取得しました。(ここに、国内開教寺院に対する貸付け制度が誕生します。埼玉教区内の自然寺と共に、この制度のもとで貸付けを受ける初めてのケースとなりました。金額は三千万円。このおかげで、林海庵は銀行からの借入れをしないで済みました)
完成—近景
 完成—近景
●同年7月〜9月
 改修工事。現代的なセンスと、落ち着いた伝統の温かみを感じさせてくれる素晴らしいお寺が完成しました。(「お寺を建てる〜建築過程」のコーナーに詳細が掲載されています) 9月末に新寺に移転しました


●18年11月
 そして、1年あまり後の18年11月25日、開山落慶法要の当日を迎えます。

開 山 落 慶 法 要

 当日お集まり下さったのは、50名の信徒の皆さまはじめ、「この人のご協力がなければ、今日という日を迎えることはなかった」という方ばかりです。
 皆さまが着席されますと、司式のご案内があり、維那の発声とともに本堂を清める洒水(しゃすい)・散華(さんか)の儀式が始まりました。続いてお寺の外では、荘厳なる雅楽の調べとともに練り行列が始まります。
 行列が本堂前に到着すると、次は本堂の開扉式(かいひしき)。これは新住職が初めて本堂の扉を開き、お堂に入る儀式です。続いて入堂、ご本尊の前にゆっくりと進み出ます。
「開山号」授与に続いて、読経が始まりました。ふだん信徒の皆さんと音読している『四誓偈』をお上げし、声高らかにお念仏を唱和します。身体の内側と外側に、お念仏の声の響きを感じていますと、これまでのさまざまなことが心に蘇ってきます。
 読経が終わり、授与十念。次に、頂戴したご祝辞をご奉読頂きます。さらに続いて、感謝状贈呈式を行ないました。今回改修工事、境内整備工事を引き受けて下さいました建築家であり、当庵の信徒でもある高橋伸芳氏に、感謝状をお贈りいたしました。

 法要終了後、場所を移して宴席を設けました。数々のご祝辞を頂きながら、スライド上映で林海庵の歴史を楽しく振り返りました。

 ご参加下さった方々から、いくつかご感想をお寄せ頂いています。

本日は、秋晴れの良い日に、開山落慶法要にお招き頂き
誠に有難うございました。大変貴重な体験をさせて頂きました。
心温まる素晴らしい会で、大変感動致しました。
新しい時代のお寺も完成され、益々のご発展を祈念致しております。

本日は晴天に恵まれ、素晴らしい法要でございました。
改めてお祝い申し上げます。
お食事の宴も、立派な先生方のご挨拶に
また笠原ご住職のお人柄に学ぶべきこと多々ありました。
映像による懐かしい時代を思い、
多くの出会いを頂くなど、大変楽しい嬉しい集いでございました。

本日の落慶、心に染み入りました、佛歓喜日とは今日の事。厳かに、爽やかに。
吉水の草庵現代版が現れたかと存じます。








資 料 編
 最後に、法要の役配と式次第について掲載いたします。
 寺院関係ではない方には不明のところもありましょうが、記録を残しておくという意味と、厳粛な法要の雰囲気の一端でも味わって頂きたい、という気持ちから、ご紹介いたします。

林海庵開山落慶法要 役配・衣帯

導 師林海庵 笠原泰淳(相当衣・七條・領帽・水冠・切袴・払子・荘厳数珠)
洒水散華師勝樂寺 茂田真澄 上人(色衣・大師衣・領帽・誌公帽子・切袴・中啓・荘厳数珠)
司 式不断院 大蔵健司 上人(色衣・大五条・領帽・切袴・中啓・日課数珠)
役 僧大昌寺 杉浦靖俊 上人(香衣・大五条・領帽・切袴・中啓・日課数珠)
殿 司相即寺 豊島明裕 上人(  同 上  )
維 那長圓寺 長谷川次應 上人(香衣・大師衣・領帽・切袴・中啓・日課数珠)
楽 師興林寺 阿川雅俊 上人(香衣・大師衣・領帽・誌公帽子・切袴・中啓・日課数珠)
龍泉寺 武田道生 上人(  同 上  )
龍泉寺 武田義親 上人(  同 上  )
式 師欣浄寺 工藤彰雄 上人(香衣・大師衣・領帽・切袴・中啓・日課数珠)
祝辞等奉読師養運寺 田中光成 上人(色衣・大師衣・領帽・誌公帽子・切袴・中啓・荘厳数珠)
極楽寺 小澤憲珠 上人(  同 上  )
文化局長 入西勝彦上人(  同 上  )
教区議会議長 野口竜栄 上人(  同 上  )
受付・案内月影寺 藤井正史 上人(道衣・顕色小五条・朱扇・日課数珠)
心光寺 八幡正晃 上人(  同 上  )
養運寺 田中和敬 上人(  同 上  )
写真撮影信徒 藤岡大蔵 氏

林海庵開山落慶法要 式次第

 先  ご参列者着座  維那、洒水散華師、祝辞等奉読師着座
 次  道場洒水・散華
 〃  練り行列(楽衆三師、役僧、導師、殿司、法類)
 〃  開扉式
  開経偈・四誓偈(洒水作法)・廣開偈(開扉)・導師十念
 〃  開式の辞
 〃  導師・役僧入堂(奏楽)
 〃  焼香・無言三拝
 〃  開山号伝達  八王子組組長 田中光成上人(副状ご奉読)
 〃  香偈
 〃  三宝礼
 〃  三奉請
 〃  懺悔偈  十念
 〃  (登高座)
 〃  表白
 〃  開経偈
 〃  四誓偈
 〃  摂益文
 〃  念佛一会
 〃  本誓偈
 〃  (下高座)
 〃  授与十念
 〃  転向
 〃  祝辞
  浄土宗総本山知恩院 御門跡猊下
    (ご奉読 八王子組前組長 小澤憲珠上人)
  浄土宗宗務総長 水谷幸正上人
    (ご奉読 浄土宗文化局長 入西勝彦上人)
  浄土宗東京教区長 鈴木宏侑上人
    (ご奉読 東京教区議会議長 野口竜栄上人)
 〃  感謝状授与(住職より 高橋伸芳殿一名)
 〃  導師挨拶
 〃  焼香・無言一拝
 〃  導師・役僧退堂(奏楽)
 〃  閉式の辞