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2003.03

 
(2) 三宝礼(さんぼうらい)

先月は「香偈(こうげ)」について書きました。お香で身と心をきよめたら、次に三宝(さんぼう)を礼拝します。

一 心 敬 礼  十 方 法 界 常 住 仏
  いっしんきょうらい じっぽうほうかいじょうじゅうぶー
一 心 敬 礼  十 方 法 界 常 住 法
  いっしんきょうらい じっぽうほうかいじょうじゅうほう
一 心 敬 礼  十 方 法 界 常 住 僧
  いっしんきょうらい じっぽうほうかいじょうじゅうそう

一心に敬って、十方法界常住の仏を礼したてまつる
一心に敬って、十方法界常住の法を礼したてまつる
一心に敬って、十方法界常住の僧を礼したてまつる

この文にいわれるように、三宝とは、仏教で大切にしている三つの宝もの、すなわち仏、法、僧をさします。「仏」とは、さとりをひらいて人びとを恵み救う人をいいます。「法」は、その仏の説かれた教え、そして「僧」はその教えにしたがって修行する人びとの集いのことです。(この「僧」はやがて、一修行者をさすようになりましたが、もともとは人びとの集まり、すなわち仏教教団のことを意味しました)

お釈迦さまがさとりをひらかれて、その教えをお説きになりはじめると、あちらこちらから人びとが集まってまいりました。人びとの数が増えて、そうした人びとの一人一人に出家の許しを与えるのがとてもたいへんになってきたとき、お釈迦さまは、すでにお弟子になられている比丘たちにこういいました。
「比丘たちよ、(出家を希望するものを)出家させ、戒をさずけるには、このようにするがよい。はじめに彼らのひげや髪をそり、袈裟衣をつけ、上衣を一方の肩にかけてやり、あなたたちの足に礼をさせ、うずくまって合掌させ、このようにとなえさせなさい――私は仏に帰依いたします、私はその教えに帰依いたします、私は教団に帰依いたします――と」

こうして比丘たちにも、お釈迦さまご自身がなさるのと同じように、新しくやってくる人びとを仏教教団の一員に加える資格を与えられました。以来、三宝を礼すること ――「わたしは仏、その教え、教団の三つを宝ものとして大切にいたします」と誓うことが仏教徒であるための条件、ということになりました。
ですから「三宝礼」をとなえるということは、「今ここに、私はひとりの仏教徒としています」と宣言することでもあります。

中にはこうおっしゃる方もいるかもしれません。「仏教はとてもむずかしい。私はあまり勉強もしていないし、『私は仏教徒です』なんてとても大きな声ではいえません。」
でも、わたしの考えでは、「お仏壇の前にすわってみよう」と思い、それをこころみるだけでも、仏さまは「よくきたね」と言ってくださるはずです。「お経本を手にとってみよう」「お念仏をとなえてみよう」と思い、それをこころみるだけで、仏さまは「そうか、そうか」とこたえてくださるはずです。いかがでしょうか。

人生は長くはありません。ともに一歩ふみ出してみましょう。