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2005.02

 
「いのちの電話」のこと

私(住職・笠原)は、先月1月をもって、「社会福祉法人いのちの電話」の活動から離れることになりました。
思い返しますと、平成5年にこの活動に参加して、足掛け12年間関わったことになります。当時は、佛教大学の過程と加行(伝宗伝戒道場)を終え、浄土宗僧侶(教師)の僧階を頂くことが決まったばかりでした。佛教大学で仏教の勉強を続けてゆくか、あるいは新しい分野に挑戦するか、迷っておりました。
ある日、たまたまNHKラジオの英会話講座を聴いていましたら、「東京英語いのちの電話」の主宰者の方のインタビューが流れたのです。そのとき、ピンときたところがありまして、「いのちの電話」に連絡を取りました。それが「いのちの電話」との関わりの最初です。
お寺に勤務するようになってからも、「いのちの電話」には関わり続けました。
今日わが国では、自ら命を縮める人が、交通事故死をはるかに上回るたいへんな数に上っています(平成15年は32,109人で過去最多です)。厚生労働省も何とかその数を減らそうと、対策に力を入れています。今は、インターネットを通じていろいろと悩みごとを相談できる場も広がっています。が、やはり人の生の声を聴きながら、匿名で深刻な悩みを聴いてもらえる「いのちの電話」の必要性は、高まりこそすれ、低くなることは決してないでしょう。

…という認識をもってはいるのですが、いかんせん身体は一つ――当林海庵の寺院活動と、「いのちの電話」の活動の両立が難しくなり、熟慮の末このたびこの活動から離れることにいたしました。
12年間――その思い出は言葉には尽くせません。この場を借りまして、「いのちの電話」ご関係の皆さま、また「いのちの電話」を支援して下さっているたくさんの方がたに、心より御礼申し上げたいと思います。

今後は、「いのちの電話」を外部から支援する形で、間接的に関わってゆくつもりです。

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