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2005.04

 
ひととき

先日、法衣姿で電車に乗っておりました。すると、隣の席の女性が話しかけてこられました。
「あのー、何宗の方ですか。」
「はい、浄土宗です。」
「浄土宗と浄土真宗はどこが違うんですか。」
「…えーとですね、それは、よくいただくご質問です。浄土宗と浄土真宗はですね…(略)」
Q&A 1Q&A 642004年3月コラム「歎異抄のこと」などをご覧ください)
「すると、もとは同じだけれど、いろいろ違う点もある…。」
「まあ、そうです。」
「それと、お数珠なんですが、これは煩悩の象徴だそうですね。」
「えっ?! 確かに百八念珠というものはありますが、お数珠というのはもともとお念仏の数を取るためのものでして、『煩悩の象徴』というわけではありません。神聖なものであり、床や畳の上に直接置いてはいけないものなんですよ。」
「ああ、そうですか…勉強になりました。もっといろいろお話を伺いたいのですが、次の駅で降りますので…。」
「どうも、さようなら。」

私の中には、爽やかな嬉しさが残りました。

電車に乗って移動しておりますと、たまにこういうことがあります。
些細なひとときですが、よく考えてみますと貴重なご縁。この女性にとって、僧侶と言葉を交わす機会は日常それほどないと思われるからです。
私どもも、誠意ある態度で応じなければなりません。

電車の中ではすぐに本を開いて読み始める私ですが、こうした機会も大事だなあ、と振り返っています。