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2006.10

 
仏教徒としての生活〈下〉

先月は、仏教徒が守るべき五戒と、仏さまに手を合わせることの大切さについて話しました。
今回は、日々の心構えの話をいたしましょう。念仏生活における心のありようについて、法然上人はこのように教えられています。

「あるときには、『この世の中はすべてにおいて永続することはない』と思いなさい。私たちの命もまた然り-さほどの時間は残されていない、と知りなさい。

またあるときには、み仏の念仏往生のお約束を思い起しなさい。そして、『お約束の通り、必ず浄らかな仏の世界にお導き下さい』と念じなさい。

あるときには、人間として生まれてくることが、実にまれであることを思い起こしなさい。仏教のたとえによれば、人として生まれることは、梵天から糸をたらして、大海の底にある針の穴を通さんがごとし、と言われている。せっかく人間に生まれてきたのに、このまま虚しく人生を閉じてしまうならば、それは何と悲しいことであろうか。

そしてあるときには、み仏の教えに接することの有り難さを思いなさい。今ここで念仏に励み、解脱の種をまかないのであれば、一体いつ次の機会がやってくるというのか。めぐり合わせによっては、仏のお名前を聞くことさえかなわないし、まして深く信ずることなど、なかなかできはしないのだ。

あるときには、過去世において善き行ないを重ねたおかげでこの教えに出会うことができた、と悦びなさい。世の中にはさまざまな人がいるが、仏を信じ、浄土往生を願う者は少ない。しかるにあなたがお念仏の教えに縁をむすばれたのは、ひとえにあなたの過去世の行ないがすぐれていたからである。今こそ浄土往生のときがきた、と思い、このめぐり合わせに感謝し、悦びの心をもちなさい。

これらのことを折にふれて思い起し、念仏に励みなさい。」

法然上人の教えには、いつも力と深みを感じます。くり返し、よく味わって頂きたいと思います。

先月と今月で、仏教徒としての生活、というお話をいたしました。