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2009.08

 
お施餓鬼とお盆─施しの心

その方の職業はそば屋さんです。
「ときどきボランティアで、老人ホームに行きます。皆さんの目の前でそばを打って食べてもらうんですよ。いや、よろこばれるよ、ほんとに。」
私「はああ、立派ですねえ。」
「いやそんな、別に立派ってわけじゃない。人間なんて自分中心な生き物だからね。私だって同じですよ。70~80%、いや90%は自分のことしか考えてないんだ。だからね、10%くらいはね。できることをやってみよう、と、こういうわけですよ。何も特別なことじゃない。そばなんて、いつも作ってるんだからね。」

ずいぶん前の会話ですが、とても印象に残っています。

別の方です。
つい先月、そのお宅にお盆のお経に伺ったときのこと。
「今朝、ベランダにクワガタ虫がいたんですよ、ほら!」
紙袋の中に、立派なクワガタが一匹入っています。
「こんなこと、初めてで。(亡くなった)お父さんが、帰ってきてくれたのかなって思って…。
しばらく家にいて欲しいから、こうして砂糖水を上げてるんです。」

大切な方を迎え、もてなす…お盆とはまさにこういうことか、と感心しながら、隣室に立派に飾られた精霊棚の前で、奥様とお盆のお勤めをいたしました。■