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Q&A 100

質問100

仏教
仏教の本を読んでいます。六波羅蜜のなかに「忍辱(にんにく)」ということが出てきます。これは、どんなことをされても耐え忍ばなければならない、ということなのでしょうか?
〈回答 100〉 あなたが自分を抑えたり、怒りをコントロールすることが難しい性質の人であるならば、この「忍辱」の行を実践することが役に立ちます。
ある人が、あなたに対してひどく侮辱したとしますね。あなたが怒りを(粗っぽい形で)投げ返さないですむ一つの方法として、「相手の立場を思いやる」というやり方があります。あなたに対してひどい態度をとらざるを得ないような事情が、その人にあったわけです。もしかしたらそれは、あなたには関わりのない、その人自身の過去の内的な事情かもしれません。
あるいは逆に、その人の言葉にも一理ある、のかも知れません。客観的に見れば、正しいのはその人で、自分の方に落ち度があったのかもしれない。その人はそれを教えてくれた。ほかの人は中々教えてくれないことを、その人は教えてくれたわけです。
また、あなたの中に起こった怒りのエネルギーを、他所に向ける、という方法もあります。自然の中を歩いたり、運動、筋力を通してエネルギーを発散させる、というのも良い方法です。
誰かに話を聞いてもらう、というのもたいへん有効です。第三者の立場の方に話を聞いてもらえば、それだけで「怒りの袋小路」から出られるかもしれません。
これらの方法をもちいて、自動的に怒りを爆発させることを抑えられるようになれば、それは大きな進歩です。

あなたがもし「いつも自分を抑えてしまう人」であり、「忍辱なんて当たり前」の人であるならば、むしろ注意したほうが良いと思います。自分のどこか(肉体的、心理的部分)に、知らないうちに無理をため込んでいたり、周囲の人に対して微妙な形で高圧的に振る舞っている可能性があります。「怒りを抑えている」のではなく、「怒りをうまく表現できない」だけなのかもしれません。もしあなたがそういう人なら、(必要な時には)適切な形で怒りを表現することを学んだほうが良いでしょう。

どちらのケースにおいても、「自分自身や相手に対して、また周囲の人に対して暴力的にならぬように、怒りの感情と付きあう」ことが修行になります。やみくもに耐え忍ぶことで、身体を壊してしまうようではいけません。