QA目次へ

Q&A 101

質問101

浄土宗
お経のことです。浄土宗では三つの代表的なお経があると聞きましたが、どういう風に使い分けるのでしょうか? お墓を新規に建てたときとか、逆に古いお墓を処分するとき、又はお葬式とか年忌法要とか、そのときに応じて使い分けるのですか? 『般若心経』というのをよく聞きますが、浄土宗では読むことはないのですか?
〈回答 101〉「三つの代表的なお経」というのは、『浄土三部経』のことです。これは、『無量寿経(むりょうじゅきょう)』『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』『阿弥陀経(あみだきょう)』という三部のお経です。これらのお経に説かれているのは、「阿弥陀仏」という仏のことや、阿弥陀仏が構えられた「極楽」という名の仏国土のこと、極楽に生まれる方法などです。一番長いのが『無量寿経』、その次が『観無量寿経』。一番短い『阿弥陀経』は、10分〜20分くらいで音読できるお経です。この『浄土三部経』は、岩波文庫に収められていますので、ご興味がおありでしたらどうぞお読み下さい。
実際の法要では、『無量寿経』のなかの一部分である『四誓偈(しせいげ)』や『歎仏頌(たんぶつじゅ)』、それから『観無量寿経』のなかの『真身観文(しんじんかんもん)』、また『阿弥陀経』(全巻もしくは半巻)をお上げします。
浄土宗の読経は3つの部分から構成されています。「序分(お経の導入部といえます)」、「正宗分(中心部)」、「流通分(結び)」の3つです。このうち、「正宗分」のところで、上に挙げたお経の何れかをお読みするわけです。年忌法要やご葬儀のときにどのお経をお上げするかは、地方によって異なったり、また法要の導師が判断したりします。(地方によっては、法事のときに『三部経』を全巻上げる、と聞きます。かなり長時間になるでしょう。)浄土宗の決まりでも、たとえば潅仏会(花まつり)のときは『歎仏頌』、十夜会のときは『阿弥陀経』というふうな定めが一応ありますが、実際は必ずしも一定しておりません。
また、『三部経』以外のお経では、
  • 涅槃会(お釈迦さまのご命日の法会)では、『遺教経』を上げる。一般の通夜で『遺教経』を上げることもある
  • 盂蘭盆会では、やはり三部経以外の『盂蘭盆経』を上げる
  • 火葬の収骨のときや、墓前の読経では『舎利礼文(しゃりらいもん)』という短いお経を上げる
という場合もあります。
『般若心経』も、『三部経』とは別のお経です。法要でお上げすることはあまりありませんが、食作法(食前の読経)ではお上げしますし、まったく読まない、ということではありません。(浄土真宗や日蓮宗では、まったく読まないと思います)
いささかややこしい話になりましたが、ご説明すると以上のようになります。

当サイトのコラム(毎月初更新)で浄土宗のお経の解説を続けています。今までのコラムを収めた「コラム倉庫(PC版 | モバイル版)」もご参照下さい。

ご寄付のページへ