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Q&A 3

質問3

仏教
キリスト教やイスラム教には生活規範のようなものがはっきり説かれているようですが、仏教にはないのでしょうか?
〈回答 3〉 あります。たくさんの教えがありますが、簡潔に言うと、「心を静かに保ち、正しい生活をしなさい」ということです。
「『心を静かに』は何となく分かるけど、『正しい生活』って何? 正しいってどういうこと?」
正しい生活とは、「根本的な悩み苦しみから、自分を解き放ってゆくような生きかた」であり、正しくない生活とはその反対、つまり「自分の悩み苦しみを深めてしまうような生きかた」です。
例えば不殺生——生きものを殺してはいけない、傷つけてはいけない、という教えがあります。これは、単なる道徳的な教えではなく、生きものや他人を傷つけると、それが自分の心を傷つけ、束縛を強めることにつながる——だから止めなさい、ということなのです。
外から見たところ同じ行為であっても、その行為をした人の動機や目的、やりかた、他者への配慮があったかどうか、などによって、あるときは正しかったり、またあるときは正しくなかったりしますよね? 微妙なところです。
一方、正しい生きかたを追求するあまり、神経質になりすぎたり、「自分は正しい。他の人は間違っている」ということになってしまうのも困りものでしょう。
浄土宗の法然上人の教えはどうかというと、
「われわれ凡人には、正しい生活をおくることも、心の安定を保つことも、智慧を得ることも難しい。だから、念仏中心の生活をしましょう。自分の力で解脱に至るのではなく、仏に導いていただきましょう。」
永年にわたる厳しい自己反省の中から、このような教えを説かれています。
ですからわたしたち浄土宗信者の生活規範とは、ナムアミダブツとお称(とな)えする——お念仏を中心とする生活をおくることです。えっ、それも難しい? できるところから少しずつやってみてはいかがでしょうか?

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