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Q&A 24

質問24

住職のこと
電話相談員をしていらっしゃるということですが、どういう相談を受けているのですか?
〈回答 24〉 仏事関係のご質問に答える、ということもありますが、それ以外のさまざまな悩みや、単に話し相手をして欲しい、という場合もあります。
自分の頭の中にすでにある知識をお話しする、というのはごく一部です。それよりも相談される方の言葉によく耳を傾ける、ということに多くの時間を費やします。
相談される方のご事情を私がそっくり理解する、ということはできません。言葉で表現できることには限りがありますし、それを受け取る私の側にも限界がある。たとえば、「離婚を考えている」という女性から相談を受けたとします。仮に何十分話を聞いたとしても、その女性のもっているつらさや迷い、怒りなどをこちらがそっくりそのまま体験することはできない。いかに豊かな表現で悩みが語られたとしても、その女性の身に実際に何が起こったのか、今までどうやって我慢してきたのか、その方は今まで危機的状況に直面したときどういう態度で臨んできたのか、将来の人生設計をどう組み立てていけば安心なのか... こういったことに対して、何一つ確かなことは言えません。その女性よりも私の方が問題の本質をとらえている、ということはまずあり得ない。
しかし、一所懸命話に耳を傾けることによって、何かが伝わってくるのも確かです。こちらにも怒りなどの感情がわき上がってきたり、もらい泣きをしてしまうこともある。また相談される方も、語ることによって何かがほぐれてきたり、自分の本心がはっきりすることもあります。「お話していて気がついたんですが...」ということがよくある。
それと、先方が初めから答えを持っている、という場合も多いですね。誰かに話してみることによって、その答えにより自信を持つようになり、具体的な行動に発展することもあります。
ですから、一種のカウンセリングといえます。そのカウンセリングの場に、私は仏教者・念仏者の態度をもって関わっている、ということだと思います。

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