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Q&A 183

質問183

仏教, 宗教
 4月(平成19年)のコラムを読みました。
「天上天下 唯我独尊」は、辞書などをみると“宇宙空間に自分より尊いものはない”という風にしか書かれておらず、お釈迦さまが本当に言いたかったことがどういうことなのか、ずっと分りませんでした。
住職様はこの言葉をどのようにご理解されていますか?
〈回答 183〉 この偈文に限らず、「我」「自」という言葉が出てまいりますと、つい立ち止まってしまいます。言うまでもなく、「諸法無我の教えとどう関係するのだろう」という連想がはたらくからです。
ここで混乱を避けるためには、「唯我」を「唯仏」と読み替えてみたら宜しいと思います。
「天上天下 唯仏独尊」
これなら分かりやすいのではないでしょうか。
「世間虚仮 唯仏是真」とも通じる観点です。

お釈迦さまにとっての「我=仏」とは、単なる宗教体験の個人的主体ではなく、自我(=有限の時空)の殻を突き破ってあらゆる方向に広がる「仏陀意識」現象です。この仏陀意識現象より尊い事物は何ひとつ存在しない。
それが「唯我(仏)独尊」という表現となって迸り出たのではないでしょうか。
お釈迦さま金口のお言葉ではないにしても、誠に深い境地を感じます。
(重複しますが、Q&A48でも答えていますのでご参照下さい。)
追 記■ ご質問の方からすぐにご返事を頂きました。  「さっそくのご返事ありがとうございました。やっと、もやもやが晴れたような心地です。」
 ありがとうございます。

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