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2002.12

 
成道会

お釈迦さまの成道(さとりをひらくこと)を祝って勤められる法会が成道会(じょうどうえ)です。

12月8日―この日に「それ」が起こった、と伝えられています。
仏典によれば、29歳で妻子を後に出家した沙門ゴータマは、6年の苦行の後、その苦行の益なきことを知りました。肉体を苦痛にさらし、追いつめたとしても、そこで精神的な成就が得られるわけではない、否、かえって精神力は衰え、意識が低下してしまう。自らの経験からこの理解を得たゴータマは、苦行をすっかり投げ捨て、水清きネーランジャラー河に沐浴し、食をとって体力を回復します。そして一本の樹の下で結跏趺坐を組みます。

いかほどの時が流れたかは定かでありませんが、明けの明星が煌めいたそのとき、「それ」が起こりました。そしてそこからあふれ出る大いなる流れは、2500年を経た今日なお、枯れることなく脈々と生命を保っています。

「それ」はかの沙門にとっていかなる体験であったのか―言葉で表現することはできないでしょう。単なる知的な気づきではなく、また単なる感情的な経験でもない。これらをすべて超えた、巨大な爆発であったに違いありません。そしてこの爆発から、超日常的な透徹した智見と、幸福への道を懸命に模索しつつもそれを得られぬ人間生命の苦悶に対する限りない慈悲の心が生まれました。

かの沙門の悟りの内容をあれこれ想像するのは無益なことです。しかし「それ」が起こったことに感謝し、祝い喜ぶ―お釈迦さまに思いを寄せる人々が、この日をそのように過ごすことができれば、なんと素晴らしいことでしょう。


*予告とご挨拶* 来年からこのコラム欄に、浄土宗のお経の解説を盛り込んでいく予定です。耳で聞いただけではさっぱりわからないお経の意味をやさしくお話しします! 乞うご期待。
今年4月の公開以降、サイトにもお寺にもたくさんの方が来て下さいました。おかげさまで、サイトと共に林海庵も少しずつ成長しています。この場を借りて厚くお礼申し上げます。来年も林海庵をよろしくお願いいたします。