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2003.02

 
(1) 香 偈(こうげ)

以前予告いたしました通り、今年は浄土宗のお経の解説を載せてまいります。

私どもが読むお経は、漢訳のものです。つまり、三蔵法師のような方々の力で仏教の経典が中国に伝わり、そこでインドの言葉が中国語に訳された―それがそのまま日本に伝わり、現在も漢文のまま読んでいる、というわけです。
ですから、お経を聞いただけでは何のことかさっぱり…ですね。「まるでお経を聞いているみたい」といえば、「ああ、ありがたい」という意味でなく、「全然分からない」という意味になる。
しかし、聞いているだけではさっぱり(?)でも、眼で漢文のお経を眺めていますと、何となく意味が伝わってきます。もっと学んでいくと、「意外に面白いなあ」と思います。

というわけで、今月から、ふだん私どもが読んでいるお経(『浄土宗のおつとめ』)について、少しずつ解説してまいります。

(1)香偈(こうげ)

『浄土宗のおつとめ』の一番はじめにでてくる文が「香偈」です。

願 我 身 浄 如 香 炉  願 我 心 如 智 慧 火
    がんがーしんじょうにょこうろー がんがーしんにょーちえかー

念 念 梵 焼 戒 定 香  供 養 十 方 三 世 仏
    ねんねんぼんじょうかいじょうこう くようじっぽうさんぜーぶー

願わくはわが身、浄きこと香炉のごとく
願わくはわが心、智慧の火のごとく
念々に戒定の香をたきまつりて
十方三世の仏に供養したてまつる

お香は昔からさまざまな目的に使われてきました。悪臭をとりのぞく、虫よけ、心を落ちつかせる、異性をひきつける、などのためです。仏教では特に、身と心をきよめるために、また仏を供養するためにお香を使います。体にぬるものを塗香(ずこう)といい、火でたくものを焼香といいます。皆さんにおなじみの「線香」は、焼香の一種です。自分に合ったよいお香をたくと、本当に心が落ちつくものです。
「仏の教えをひとことで言え」と言われれば、わたしは「心を静かに保ち、正しく生活することです」と答えるでしょう。心を静かに保つ、とは、何も面倒をさけてひとり引きこもることではありません。(そういう時期が必要なときもありますが……。)むしろ、人生でおこってくるいろいろな問題に対処するには、心を静かに保つことがとても大切だ、ということです。静かな心で自分を見つめ、他人を見つめ、深いところで微笑みをかわしあい、また涙を流しあう……そうすれば、怒りの心や欲深い心はおのずとおさまってくるでしょう。
毎日心を落ちつけて同じお香をたいていると、今度はそのお香のかおりを感じただけで心が落ちつくようになってきます。
皆さんもお仏壇の前にすわり、心を静めてお線香に火をともし、香煙がやさしくひろがってゆくのを感じてください。本尊さまやご先祖さま、そしてご自分の身と心をやさしく包んでいくのを感じてください。

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