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2007.02

 
ある冬の日に

昨年の暮れのことです。
血縁にあたる大切な人が、45歳の若さで目を瞑り、彼の国へと旅立ちました。
臨終の知らせに駆けつけ、額にそっと手を当てると、そこにはまだしっかりとした温もりがありました。
葬儀は私が勤め、今月は、はや四十九日を迎えます。
日々の本堂のお勤めの中で、私自身が授与した戒名を読み上げ、回向しています。
戒名には、彼女の面影にこれからの仏道の歩みを重ね、「清蓮」「凛光」という号を贈りました。

戒名を読み上げる毎に、左胸に独特の感覚が湧き起こり、目の奥が熱くなります。

お勤めの中で、時おり拝読する法然上人のお言葉の中に、この感覚が救われてゆくのを感じています。

「会者定離は常のならい。今、はじめたるにあらず。何ぞ深く嘆かんや。
宿縁空しからずば、同一蓮に坐せん。」

「浄土の再会、甚だ近きにあり。
今の別れはしばらくの悲しみ、春の夜の夢の如し。」

南無阿弥陀仏――

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