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2017.10

 
家の中にMyお寺をつくる
❖ 関連して頂いたご質問のお答えを末尾に追記しました (R03.05.08)
 前回のコラム「法然上人の浄土の教え」に、次のようなご感想をお寄せ頂きました。
「驚異的に明瞭で、素人の私にも分かりやすかったです。ありがとうございました。多くの方に安心をもたらす教えである一方、仏教的な研鑽を積んできた方にとっては逆に不安をもたらす、非常にラディカルな教えであると思いました。この両者を包み込める教えがあるということに驚きます。」
 私がお伝えしたかったことをしっかりと受け取って頂いたようで、ほんとうに嬉しく思います。心より御礼申し上げます。

 さて、今回のテーマは「家の中にMyお寺をつくる」です。
 亡くなった私の師僧はよく、
「心は形を求め、形は心を育てる。」
 と申しておりました。
 畢竟するところ「色即是空」—姿かたちに執着すべからず—というのが仏教の教えではありますが、やはり手を合わせるにも目の前に仏さまのお姿があったほうが心がこもります。例えば親しい人のことを想うのと同じで、目の前にその方の写真があるのとないのとでは、心に生ずる感じがずいぶん違ってきます。日々の生活の中に仏教の実践を取り入れるために、皆さんにも簡単にできる「心を育ててくれる形」の整え方=礼拝の環境の作り方をご紹介しましょう。

  • 第1ステップ
     まずは阿弥陀仏をお祀りします。寺院の中心の場所は本堂です。その本堂の中心はご本尊さま。ご家庭でも同じです。
     日本式の仏壇がある場合は、その最上段中央に阿弥陀仏を祀ります。仏像・掛け軸のいずれでも結構です。
     仏壇がない場合でも大丈夫。仏像・絵像などをお祀りすることができます。(今回の例は写真を額装したものです)
     ご本尊が整いましたら、次に仏具を揃えてご本尊をお飾りします。仏壇がない場合はテーブルやサイドボードを利用できます。
     基本の仏具は三種です。
    1. 香炉。中央にお線香を立て、その香薫を仏さまに捧げます。
    2. 灯明。ローソクに火を灯します。仏さまの智慧のみ光を表します。向かって右に置きます。
    3. お花。向かって左です。  灯明とお花は、それぞれ一対ずつ飾ることもありますが、一つずつでも十分です。
  • 第2ステップ
     第1ステップが整えば、皆さんも合掌してお念仏をお勤めすることができます。もっとも法然上人のみ教えからすれば「心を込めてお念仏する」だけで十分ですので、第1ステップさえ必要不可欠というわけではありません。仏像がなくてもお念仏は称えられるからです。これらは「お念仏を助けてくれる環境」であるとお考え下さい。第2ステップも同じです。
     ここでは、身に携えるものを揃えます。
    1. 数珠。もともとはお念仏の数を数えるものですが、数を取らない時も身につけます。
    2. 袈裟。仏教徒の象徴です。浄土宗では一般に輪袈裟を使います。
    3. 経本。お念仏に加えてお経を読む場合は必要になります。当サイトからも経文のダウンロードができますので、活用してください。
  • 第3ステップ
     何人かで集まってお勤めをする場合は、声をそろえる必要があります。そこでおりんと木魚が助けになります。お経の中のどこで叩くか、その場所が決まっております。追々お伝えして参りますので、叩いてみて下さい。

 私は、世界各地に小さな念仏グループがたくさん生まれることを願っています。今回ご紹介した「家の中のお寺」は、程度に応じて誰でも整えられるものです。「Myお寺」の前で一人でお勤めするのも良し。もし仲間がいれば、一緒にお念仏するのもまた良し。定期的に集まるのであれば、勤行と読書会で時を過ごしてみては如何でしょう。浄土経典や法然上人のお言葉などを学べば、お念仏への理解も深まります。
 浄土宗の僧侶がもしそこにいれば、質問もできますし尚良いのですが、なかなかそうはいかないでしょう。もしご質問などがありましたら、どうぞこちらにお寄せください。◆


ご質問: ご本尊写真使用の場合は開眼供養必要でしょうか
お答え: ここでは「必要ありません」とお答えしておきます。というのは、本稿の趣旨は、「正式なお仏壇をお祀りできない場合でも、ご自宅に仏さまを礼拝するスペースを略式で作ることができます」ということだからです。どうぞそのようにご理解下さい

*今回のコラムに関連してYouTubeにおつとめの動画をアップロードしました。こちらもどうぞご覧下さい

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