コラム目次へ

コラム倉庫

2022.02

 
お釈迦様の基本の教え
山田 隆治 記(令和4年2月)

 2月15日はお釈迦様がお亡くなりになった日です。
 その日に行う法要を涅槃会といいます。仏教をお説きになられたお釈迦様の徳を讃え、お釈迦様の恩に報いるためにお勤めいたします。
 涅槃とは、苦しみが消滅した状態。覚りの境地のことであり、煩悩の火が焼き尽くされた状態をいいます。仏道を修行する者が目指すべき到達点です。お釈迦様が入滅されたことを涅槃に入られたといいます。肉体の死は悩み、苦しみから完全に離れ、覚りの境地に至ることになります。

 お釈迦様がお説きになった仏教の教えの核となるものは、

  • 諸行無常
  • 諸法無我
  • 涅槃寂静
の三つの教えです。この三つのことを三法印といいます。

 諸行無常とは、あらゆる物事は永遠に存在するものではなく、常に変化するということです。私たちが行うことや物質は、固定して変化しないものはなく、常に変化しています。
 今目の前にある物も、1秒前の物ではありません。私たちや近親の人たちの体や命も変化を続けています。
 財産や地位、名誉もいつ失われるかわかりません。これらのものに執着せず、驕りの心を無くさなければいけません。
 時も瞬間的に過ぎ去ってしまいます。私たちの現在の存在は過去において積み重ねてきた善悪の結果です。これからの刹那刹那の行為を良いものにすることが、将来の存在を最善のものにすることになります。

 諸法無我とは、あらゆる物事は現象として存在しているだけであり、普遍的な本質は存在しないという意味です。
 すべての物事はお互いに影響を与え合う因果関係によって成り立っていて、他と関わり合いなしに独立して存在するものはないという考え方です。
 自分の財産や命も全て自分のもののように思いますが、そうではありません。あらゆるものは互いに関わり合いながら存在しています。個として独立しているものは何一つなく、自分という存在すら、主体的な自己として存在しているのではなく、互いの関係の中で生かされている存在なのです。

 涅槃寂静とは、苦しみのない覚りの境地で、いかなる物事にも煩わされることのない静かな状態をいいます。煩悩の火が吹き消された静かで安らぎの境地でありますので「寂静」と訳されています。
 生死をも超越し、完全なる安穏の境地で、仏教での最も理想とする状態のことです。
 ここに達することができたときは、輪廻転生の繰り返しから抜け出すことができると言われています。

 お釈迦様はこの世のものは全て変わっていくこと「諸行無常」、全ての物事はお互いに影響を与え合いながら成り立っており、個として単独で存在しているものはない「諸法無我」をお説きになりました。人々が苦しむ原因を明かし、物事に執着する自我を改め、正しい行いを続けることで「涅槃寂静」への道が開かれてくることをお示し下さっているのです。
 極楽浄土へ往生することは、正に涅槃寂静の境地が保証される事です。お釈迦様も念仏を称えることをお勧めになっています。
 お釈迦様と阿弥陀様に見守られながらお念仏をお称えすることで「涅槃寂静」の道に近づきます。
 これからもお念仏を続けてまいりましょう。☸

ご寄付のページへ